2005年5月15日
この日、再び丸の内へ。でも、サクラがいない。 小屋も埃が積もってる。夜はサクラと一緒だと言っていたおじさんにそっと聞いてみる。
「サクラ?...サクラは写真家が持ってちゃった。今年2月に、サクラが白血病だとわかって、それはよくなったんだけど、アレルギーもあって心配だからって。」そして、サクラのことを話してくれました。
「手のひらに乗るような小さなサクラが骨と皮ばかりでここにきたのが2002年の8月18日。一生懸命ミルク飲ませてさ。でも下痢が止まらない。一週間もたないと思ったよ。獣医には高くて通えないから、薬局でビオフェルミンをサクラの体重に合わせて量を決めてもらって与えて、それでよくなったんだ。」
「寒い日は一緒に寝ていたんですよね。」
「そうだよ。だから、もうここには戻らないってわかってるんだけど、夜、猫の声が聞えると、サクラが戻ってきたかと思って捜しちゃうんだよ。」
この日は5月とはいえ、底冷えのする夕暮れ。
「寒いですね。」と言ったら、「寒いよ。俺、これしか着てないしさ。」と、よくサクラがもぐりこんでいたジャンパーの胸元を差して言いました。
サクラを見守っていた人も来なくなり、サクラのために片隅に植えられていた猫草は、かじる主がいなくなり30センチほどの高さになっていました。
サクラはきっと、暖かい部屋で、大切にされている..と思います。
サクラ、幸せになってね、おじさんの寂しさの分まで、サクラを思う気持ちの分まで。
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